事前の検査内容(超音波検査、レントゲン検査、血液検査、病理学的検査など)や飼い主様のご意向を踏まえて、手術を実施するかどうかを決定します。
【手術用モニター】
心電図・心拍数・呼吸数・血圧・体温・血中酸素濃度などをリアルタイムに把握します。
【ベンチレーター】
呼吸の管理を行います。酸素と麻酔を送り込みます。
【滅菌器】
手術器具は全て滅菌処理をして使用し、手術部位の汚染を防ぎます。
【腫瘍外科】
頭蓋内腫瘤切除(髄膜腫)、口腔内腫瘍切除(上顎・下顎切除等)、乳腺腫瘍切除、皮膚腫瘍切除、胸腔内腫瘍切除(肺・胸腺等)、腹腔内腫瘍切除(肝臓・脾臓・腎臓等)、膀胱腫瘍切除、甲状腺腫瘍切除、断脚術、直腸腫瘍切除(直腸プルスルー)、副腎腫瘍切除 など
【呼吸器外科】
軟口蓋切除、喉頭蓋切除など
【整形外科】
各種骨折整復術、膝蓋骨脱臼整復術、大腿骨頭切除術、前十字靭帯整復術、股関節脱臼整復術など
【神経外科】
頚部椎間板ヘルニア(ベントラル・スロット)、胸腰部椎間板ヘルニア(片側椎弓切除術)など
【胸腔外科】
肺葉切除術、心膜切除、横隔膜ヘルニア など
【腹腔外科】
門脈体循環シャント、胆嚢十二指腸吻合術、胆嚢切除、消化管吻合術、胃捻転整復固定術 など
【泌尿器・生殖器外科】
去勢手術、避妊手術、帝王切開、会陰尿道瘻、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石 など
【一般外科】
耳道切開術、全耳道切除(外側鼓室胞骨切術)、会陰ヘルニア整復術 など
【門脈体循環シャント】
胃腸からの血液が、肝臓を通らずに異常な血管(シャント血管)を経由して全身を巡ってしまう病気。(右の犬は先天性)
肝臓で解毒されていない血液が全身を巡るので、肝性脳症などの様々な弊害が生じ、命に関わる。
手術では、門脈圧を測定しながらシャント血管を結紮した。
【鼠径ヘルニア】
足の付け根(鼠径部)にある穴から、臓器が飛び出してしまった状態。(右の犬は先天性)この犬は歩くことも困難となっていたため、鼠径部の穴を塞ぐ手術を行った。
【猫の尿管ステント設置術】
尿管に結石がつまった猫。水腎症や水尿管へ進み腎不全となると亡くなる場合が多い。尿管内の結石を除去しステントを設置することで、腎不全への進行を抑えた。
【子宮蓄膿症】
膿が貯留しているため腫大している子宮。腹腔内に膿が漏れ出ると腹膜炎を起こし重篤な状態となる。救命を第一に、卵巣・子宮全摘出を行うことが多い。
【乳腺腫瘍】
乳腺にできる腫瘍。良性腫瘍と悪性腫瘍がある。確定診断は外科摘出後の病理組織学検査で行う。早期の避妊手術により乳腺腫瘍の発生リスクを下げることができる。
【精巣腫瘍】
腫大・硬結した精巣を切除しているところ。7~8歳以上の犬で多く発症する。陰嚢内に降りてきていない精巣(潜在精巣)の場合、その発症リスクは高くなる。
【潜在精巣】
精巣が、生後しばらく経っても陰嚢内に降りてこないで腹部や鼠径部(足のつけ根)にとどまってしまう病気。停留した精巣は腫瘍化し易く、早期摘出が推奨される。写真右は、鼠径部から摘出した精巣。
【尿路結石症】
尿道に結石がつまり、尿が出なくなった犬。こうなると、膀胱破裂あるいは腎不全を起こして死亡する可能性が高い。結石を取り除き尿道カテーテルを挿入する緊急手術を行った。右写真は摘出した5mm大の結石。
【胆嚢粘液嚢腫】
胆嚢内にゼリー状の塊が形成されている。胆管閉塞などの障害を起こす。内科療法では改善されない場合、胆嚢を切除する。
【脾臓腫瘍】
脾臓の悪性腫瘍には、血管肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫、悪性組織球腫、形質細胞腫などがある。良性腫瘍や血腫との区別が難しいため、脾臓を摘出し病理検査にて確定診断する。
【腎臓腫瘍】
正常の腎臓の3倍程度まで成長している腎臓腫瘍を摘出しているところ。太い血管が集まり腹部の奥底にある腎臓は、より慎重に摘出していく。
術後は、もう片方の腎臓の機能を温存していくことが大切である。
【腸重積】
腸管の一部がそれに続く腸管の中に入り込んでいる状態。腸閉塞の原因にもなりえる。重積部分は切除あるいは整復する。
【盲腸部腺癌】
盲腸部にできた腺癌を切除しているところ。腸の癌の症状は、嘔吐や下痢、血便・排便困難・発熱などがある。
【膀胱腫瘍】
膀胱の上部にある腫瘍を摘出したところ。膀胱腫瘍の症状は尿路感染症や膀胱結石などの疾患に似ているため、注意が必要である。
【膀胱尿道移行上皮癌】
膀胱と尿道にかけて腫瘍が認められ、排尿ができなくなったため摘出したところ。腫瘍がある膀胱と尿道は全部摘出し、尿管と膣を繋ぎ合せることにより排尿は可能となった。
【外傷性横隔膜ヘルニア】
交通事故により横隔膜が破裂した状態。胸腔内に入り込んだ臓器を元に戻し、横隔膜を整復した。
【胸腰部椎間板ヘルニア】
はみ出した椎間板物質が脊髄神経を圧迫し、痛みや麻痺が起こる。当院ではMRI又はCTで他の疾患との鑑別をし、病変部の位置・程度の確定をする。その後、はみ出した椎間板物質を取り除く手術を行う。
【垂直耳道部耳垢腺癌】
耳垢腺(外耳道にある汗腺)が腫瘍化したもの。形や色、大きさが様々である。外耳炎を併発したときに、飼い主様が腫瘍(イボのようなもの)の存在に気づくことが多い。
【下顎部扁平上皮癌】
下顎部にできた扁平上皮癌を切除しているところ。扁平上皮癌は浸潤性が強いため、骨にまで浸潤しているケースがある。そのため、あごの部位に限局していれば、あごの骨ごと切除する。
【軟口蓋過長症】
口の中の軟口蓋という組織が先天的に長いことが原因で、呼吸困難を引き起こす。興奮時や運動後・暑い時に、より重度となる。症状が重い場合は外科切除が必要となる。写真左は切除後縫合しているところ。写真右は切除した軟口蓋。